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２０１０年度句集 |
春の雪国際会館蒸気あげ
春の雪美しき手の人と居て
春浅しショベルカー入る高野川
もう一度ゆがきなおして蛍烏賊
啓蟄やこの日いつもの庭仕事
母の忌にそろって開くチューリップ
横浜の土をつけたる春キャベツね
つちふるや白い太陽カラス飛ぶ
春うららバスの漢の京ことば
賑わいの四条大橋初燕
孫よりの手紙うれしき春休み
渋滞の車道につばめ翻る
筍を買うタクシー乗りましょうか
甘鯛のまなこ麗し春の宵
小鳥飛び椿一輪落としけり
寺町に茶の香ただよふみどりの日
人形も日光消毒山笑う
天辺に囀り残し飛び立ちぬ
桜えび黒き瞳に一包み
桜えび食めば周りもピンク色
焼き餅の切れない初夏の一保堂
カーネーション一鉢虫にくれてやる
皆同じ仕草で食べる茂木の枇杷
早苗田に声わたらせて僧五人
この紙は君にあげると紙魚に言う
父の日や夫に声かけお父さん
梅雨晴間先客ありし窓の席
昼顔や裁判所にて人を待つ
帽子掛け天辺いつもパナマ帽
初西瓜八分の一を二人にて
足先の影みな丸し水馬
風鈴や共に老いたる月日かな
風鈴の短冊ばかりよく廻る
購いし捕虫網未だ家を出ず
道具屋の庭に深々西日入る
あれこれの広告団扇品定め
糸とんぼその先ゆらり鯉泳ぐ
警笛に草刈機止む叡山線
立秋や便乗して買ふ派手な靴
こわごわと二百十日を迎えしに
初秋刀魚隣のおかずよくみえる
秋の蚊に目覚むる丑の三っ刻
リハビリの終わるを待つ間鰯雲
秋の午後はじめて押せり車椅子
草むらにまぎれし小萩風に揺れ
料亭の厨格子に秋灯
グループ展サインを入れし良夜かな
仏壇で大きく開く冬の薔薇
立冬や比叡山頂行きのバス
湯豆腐や一人暮らしの娘を思ふ
川底の落葉模様に雲の影
ゆりかもめ第一艦隊賀茂の川
初時雨出るに出られぬレストラン
風邪の日の茶柱立ちし茶の苦さ
傾げれば冬満月の見える席
餡パンを半ぶっこずつイヴの夜
メロディが調子外れて社会鍋
田作りをつまめばみんなついてくる
モノレールくねくね昇る冬の空
段々と顔寄る筆談黄水仙
映画やめ四人で行けり初恵比寿
友よりの蝋梅悠々壺に挿す
母煎りし豆を撒きしは何時の日か
南南東向けば裏山恵方寿司