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２０１３年度句集 |
春の雪眉ひく手つき亡姉に似し
福は内声は出さねど鬼は外
一粒がエントランスに鬼の豆
良き顔の達磨を選ぶ節分会
如月やこぞこの頃に逝きし友
早朝のチャイムに驚く春寒し
ティッシュにて窓拭き狙う春の月
如月や靴紐弛め足入れぬ
咽せそうなうぐいす餅のきな粉かな
午前着空気清浄機二月尽
迷い鳥エントランスの白梅に
春彼岸おそるおそるの餅搗機
朝の夢思い浮かばず蜆汁
初蝶や意外に速し見失ふ
春うららくるくる回る三色棒
花かげに憩う家族も被写体に
たこ焼きを独り頬張る花の雨
白木蓮朝の蕾の神々し
友からの形見の財布喪の四月
媚びうらず裏庭に咲くすみれ草
旧街道つばめ斜めにすれちがふ
山つつじ麓に住める老いし友
行く春やパラシュケヴォフ氏と握手す（同氏はブルガリアより遠来のヴァイオニスト。コンサート終了後握手）
歯の治療まだまだ続く４月尽
遠ざかる十石舟や鯉のぼり
睡魔来るリュート曲集五月あめ
五月富士携帯出して新幹線
解剖の真似して枇杷を切り分ける
点滴の滴見つめる梅雨曇り
裏の山望遠鏡に栗の花
風通す司法沿革誌黴凄し
一枚の青田にしゃがむ小学生
山あいの町に響くや磯鵯
持ち替える重き手荷物日陰にて
合歓の花１３回忌の亡姉（あね）偲ぶ
濁流の岸に青鷺佇みて
戻り道一人で覗く靑田かな
韓国語学びませんか氷旗
薔薇一輪帰へる子供のはなむけに
夫病みて小さく咲ける薔薇一輪
長刀鉾ちまきを買ふて神頼み
退院の夫を迎える初秋刀魚
独り居に猫の箸置き秋の雨
美容師が産休に入る八月尽
低反発マット買いたり八月尽
公園の池に映りし雲も秋
早朝のおはぐろとんぼ振り向かず
ややこしきスマートホンや秋思消え
年金の減額通知秋の雨
入院の父を想ひて秋焼売
松手入れ用もないのに声をかけ
コスモスは風もないのに壷で揺れ
大枝の柿色づきぬ壷の中
十五夜の心くばりの病院食
名月や出先で撮って家で撮る
目次に戻る。 時雨るるや夫置きわれは買い物へ
かくれ場を探して走る落葉かな
冬薔薇を月命日の友達に
暖房の居間で腹筋３０回
数え日に予約注射の夫を待つ
８０歳ゲームで目薬お正月
調味料間違っても出来たごまめかな
鴨の群数え癖つき高野川
食べかけて京人参かと息子問い
開けたての樽の酸茎をお土産に
湯豆腐や土鍋重たき歳になり