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２０１５年度句集 |
我が家では二日遅れの鬼やらひ
福は内食物繊維つまみ食い
スイートピーぱっと明るき部屋のなか
雨あがり糺の杜も春めけり
手伝いし確定申告二月尽
紙雛にあられを添へて娘（こ）の部屋に
来るたびに息子がつくる蜆汁
繰り返し逆立ちをする残り鴨
春の雪囃子の稽古祇園街
筍を茹でる匂ひの部屋に満つ
水出しの説明長き新茶かな
髙野川中洲に子鹿親は居ず
琵琶湖鮎そろわぬ丈の南蛮漬
遠目にもエントランスの矢車草
子守歌代わりの志ん朝薄暑かな
五月来るニーベリングの指輪聴く
最後には神々の黄昏五月尽
さくらんぼ山形の兄もういない
サイダーにストロー添えて何か変
蜘蛛の子の逃げ足はやし雨模様
ほととぎす八瀬行き電車通過せり
今年また立ち寄りてみる沙羅双樹
露草に夜半の雨の名残かな
青鷺の不意に伸ばせし首の丈
お供えの桃の匂いの漂ひて
去年より蕾倍増百日紅
ねじり花つい可愛いと口に出る
初蝉やガラス戸開けて確かめる
賀茂茄子や切る瞬間に迷ひけり
ヒメジョオン此処にあんなにあったのに
蜜豆で気分転換朝食に
ころころと心変わりて７月尽
つくつくし家の中までついてくる
何処かしらエントランスのちちろ虫
朝顔や蔓のばしつつ十も咲く
秋あかねあんなにいたのに秋あかね
草むらの空に寄りくる秋あかね
秋の雨鳩が頬かく赤い趾
信号機きよしきよしと敬老日
ふるえおる紫露草バスの中
街路樹の根元に咲きし曼珠沙華
土手に赤ぽつぽつぽつと彼岸花
秋日和橋渡る園児散歩カー
今年また柿色づきし空き家かな
松手入れ馴染みの職人声かける
坪庭の木賊の位置や京料理
目次に戻る。 小春日や貸し自転車が好きな孫
ラッパ手に傾き直す社会鍋
夢でなく老老介護神無月
正ちゃん帽被りたくなる師走かな
賑わいに傾いている社会鍋
娘（こ）と共に百合鴎見し高野川
忘れずにいとこ煮料理冬至
介護五の友の電話や年暮るる
壁に影賑やかな影餅の花
あっちゃんの奈良の奈良漬お正月
あっちゃんの笑顔の写真年賀状
数の子を厨でこきこき聞かれけり
人日のいちにいちにと帰り道