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２００５年度句集 |
群れ雀春の兆しに声はずむ
探梅やたぬきときつね注文し
夫の喜寿祝ふ薄茶とさくら餅
枝垂れたる白梅空に飛行雲
水温む疎水の横の動物園
骨董屋涅槃絵開く西洋人
遠き遠き母のぼたもち春彼岸
売られゆく畑に残れる桃の花
春の朝おうおう修行僧がゆく
裁判所枝垂れ桜に囲まれて
石段に蜥蜴憩へり宇治神社
木漏れ日に目高の遊ぶ一休寺
子供等の声の明るき花樗
日盛りの校庭鶏の声ひびく
笹舟をそっとのせたり夏の川
めまといを払ひ笹舟追ひにけり
四年過ぎ風鈴の位置定まれリ
宵山や蛸焼大将蛸を切る
京ことば弱冷房のバスの中
同窓四人古稀の旅なり真桑瓜
ビル街に弁当売りの浜日傘
恐竜の映画のあとの熱帯夜
飲むよりも音なつかしきラムネかな
ラムネ瓶からからならし昔飲む
ラムネ飲む昔よい子でありしかな
明易し巣作りの鳩また啼きて
騎馬隊の馬の背にふる蝉時雨
とうがらし七輪で焼く母なりし
裏の山でひぐらしが鳴く。法師蝉などは公園でみるが、ひぐらしにはお目にかかったことがない。
ひぐらしや見たこともなく七十年
かなかなや大気圏外宇宙船
ヨーグルト撹拌の音今朝の秋
かんたんは名前は聞くが、姿も鳴き声も聴いたことはない。ノートパソコンの百科事典で検索して、はじめて姿を見、鳴き声を聴いた。すてきな鳴き声だった。
邯鄲やパソコンで見て声を聴く
路地横の狭き空き地の鳳仙花
裏木戸を吾より先に秋の蝶
河原町二条でバスを降りて、西の高いビルを見ると、一面ガラス張りのそのビルの高いところに鰯雲が！勿論空にも。
鰯雲
大きなビルのガラスにも水澄みて一羽の鴉水を浴び
雨の日に月見料理が店頭に
古今集巻第十五恋歌五友則「秋風は身をわけてしも吹かなくに人の心の空になるらむ」
秋風は体の中にも吹いて行く
寄り添わず一本はなれて曼珠沙華
動物園樋にいきいき蛍草
日本晴れの宝ヶ池公園に、色とりどりの小さい子ども達、水筒も色とりどり、リュックも色とりどり。空には赤とんぼ・・
さまざまな色の水筒赤とんぼ
赤とんぼ二年保育の園児群れ
電線の白露きらきら消えがてに
霜降に初冠雪のニュース聞く
霜降の裏山に陽は輝けり
一眼レフデジカメで、藤棚の下の猫ｰ野良猫を撮った。ご免ね。
このように時は過ぎ行く猫の秋
バスの窓こころも曇る秋の雨
細い一本のすすき、手折れぬものです。くにやくにゃにしたまま立ち去るときの疚しさ！
高野川中州のすすきの穂、日にちが経つと、色が抜けて白くなることに気付いた。白くなって、波のように、風にそよいでいる。
手折れども手折れぬ薄そのままに
花すすき色移ろひて白き波
花すすき中州にありて風に伏す
秋が深まると蝶の姿が目立つ。最後の恋を求めているのかしら。それとも死に場所を求めて・・
死に急ぐしきりに飛ぶや秋の蝶
惜しげなき金の波紋や秋の風
橋桁の暗きより出づる黄鶺鴒
柿赤き道の彼方に実相院
秋の蝶五輪の塔の上に飛ぶ
こだわりの松茸ご飯炊きあがる
テレビでは世界中の風景が見られるが、晴れた空の白雲だけは何処も同じである。当たり前のことだが、妙に感心した。
白雲は何処も同じ秋の空
残る虫聞きをり人を待ってをり
立冬や東の空に赤き星
水尾ひきて群れに加わる鴨二匹
冬晴れや比叡ケーブル見え隠れ
建礼門院が剃髪された長楽寺辺を姉と散策。姉の手は亡母の手にそっくり。二人で手をつないで冬紅葉を鑑賞しました。
亡母の手に似る姉の手や冬紅葉
川涸れて吾は居眠り昼のバス
冬の蜂箒に乗せるむずかしさ
冬の蜂箒に乗りてどこへやら
大根手に手に園児並び行く
私が住んでいる町は氷室町といいます。
氷室てふ町に住み雪に覚め
数へても奇数の鴨の群さびし
数へても数へても鴨奇数なり
烏丸通りの小さい画廊の前で、女性が落葉を静かに掃いていると、隣の家からも女性が出て来て落葉を掃き始めました。
落葉掃き隣の人も出でて掃く
日向ぼつこ公園の猫三年目
強風に落葉あたかも走るごと
走り来る枯れ葉は風を友として
２００６年１月１日、のっぽの夫と金閣寺え初詣に行きました。
初詣夫の帽子を目印に
初詣のっぽの夫を目印に
逆光の鳳凰を撮る初詣
鰹節さくさくけずる初厨
初鏡眉引く仕草亡母に似て
診察券にわかに増えし去年今年
