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２００９年度句集 |
鬼やらい赤鬼青鬼リハーサル
あの店もこの店も閉じ春に入る
窓を拭く朝日まぶしき春の雪
樹の幹の明るくなりて春兆す
子の部屋に行くたび摘む雛あられ
携帯で雛の写真を娘に送る
雛人形横に座るは老いし猫
菜を洗ふ水に浮びしはこべかな
できたての桜餅の葉離れない
裏の山大揺れしては杉花粉
山裾の幼稚園桜の園となる
交差点信号待つ間の初音かな
花見舟手を振りながら橋くぐる
雨上がり菜の花明かり目にしみる
緑の日二台も続き救急車
囀りも連れて私の馬に会ふ
四女五女母の思い出うこぎ飯
遊覧船舳先に小さき鯉のぼり
炊飯のキー押し忘れ五月尽
ビル街の卯の花垣根はや剪られ
六月や前の座席に稔典さん
読経する老僧の頬汗浮かび
ひまわりや一両電車の沿線に
忘れいし糯米を炊く半夏生
タイム誌のマイケルｼﾞｬｸｿﾝ七月号
雨あがり中州に子鹿高野川
噴水のしぶき離れて甲羅干し
マンションの庭を横切る川の蟹
おみやげの活蛸膝に京都まで
おばちゃんの忍術学園夏料理
なんとなく日傘小さく見えし人
美術館出て喫むソーダーみどり濃き
かなかなや肺炎の熱下がりたり
一階の窓の目隠し木槿咲く
坂道をのぼりて投票秋暑し
遮断機のむこうむこうにアキアカネ
よそゆきの声出せばフアックス秋の夜
満月が隣の部屋の窓へゆき
ごみ室に今朝もまだ鳴くちちろかな
預かりしぬいぐるみにも赤い羽根
松茸や夢のまた夢丹波産
ひさびさの姉の笑顔や零余子飯
筆談に姉の笑顔や秋惜しむ
焼きものに萩の小枝が京料理
筆談のメモ読み返す秋灯
時雨きて葉書投函急ぎ足
思案せず枯葉の色をキャンバスに
大根洗い見ていて一本貰いけり
絶え間なく流るる落葉バスを待つ
インターネット見る窓に出る冬の月
ゆりかもめ皆来し方見る賀茂の川
手作りの柚ジャム届く添え書きも
愛用の甕の蓋割れ除夜の鐘
宮司飼う犬に声かけ初詣
再発の友の声聞く初電話
ヒップボンのジーンズ試着ホッカイロ
賑やかなあの豆撒きは夢の果て
静かなるマンション四階豆を撒く
賑やかなあの豆撒きは夢の果て