NamiNami
三 秋→平成２６年０８月中旬以降
四 冬→平成２６年１１月０８日以降
夕まだき鬼よご免ね豆を撒く
掃除機のための掃除機春に入る
早朝のコーヒーメーカー春になり
ウォークマン春の挨拶ジャズトリオ
人は皆死んでゆくもの春の雪
晴と雪併記す春の日記帳
春浅しわが誕生日雨のち晴
去り難てのものも遂には３月尽
昨日今日噴き出すように桜咲く
初蝶を見て感激の妻帰る
春なれば少し薄着で街に出る
春眠や遠慮がちなる鼾あり
ハタハタと蝶飛びスイスイ燕飛ぶ
寝てぼやき起きてもぼやく夏の風邪
枇杷の種数えれば数定まらず（５個の場合があり、７個の場合があり）
蠅取蜘蛛蠅いなくても横っ飛び
蠅取蜘蛛時々現れまた消える
蠅取蜘蛛去年の蜘蛛か新人か
五月晴れ病みたる友よ何思ふ
旧友とワインで乾杯５月尽
小さくても鮎は鮎なり初物食ふ
歳老いし風鈴風なくても鳴る
夏の日の一夜の入院妻帰る
放埒な寝姿人形熱帯夜
朝食にメロン一切れ白い皿
百日紅バスの車窓を通り過ぐ
遺言書を書かず果てたる黄金虫
縁ありて我が家で果てし黄金虫
死してなほ黄金負ひたる黄金虫
蝸牛でも読み終えるらむプルースト
蜩は揃ひて友の死をうたう
ピストルの音蜩は鳴き止まず
夕されば蜩揃ひてかなかなと
声高き娘お盆を連れてくる
亡父母（ちちはは）も喜ぶ丸井の盆の花
小太りの金太郎鰯与謝の海
ハイドンと読書昼寝で８月尽
秋雨や人形も亡母を思ひけり
二人だけのささやかな祝祭敬老日
三日後は秋分ですよと妻が言ふ
思ひ出になりてしまひし曼珠沙華
茹で栗を栗好きだったあの人へ
おいおいに茎倒れゆく曼珠沙華
コスモスの空地カラスがあるじ顔
改装の梨木神社初時雨
健さんの訃報にわかに冬の雨
お茶がゆに橡餅入れていうことなし
健さんのあと追い文太も冬の旅
夢の字の薄れたお守り年暮るる
白髪の三人が守る（もる）社会鍋
冬の夜の夢水槽に魚（うお）放つ
