三 秋→平成２１年０８月中旬以降
四 冬→平成２１年１１月０７日以降
鬼やらい鬼は外をば忘れまじ（つい可哀想と、鬼は内、なんて言ってませんか。鬼は自分の邪気です。）
鬼やらい家のあちこち豆残る
だらだらと雨がまじりて春の雪
なかなかに悦ぶ者なき春の雪
線路上電車追い越す春の雪
観梅や生きる理由を思ひつつ
出るときに見て帰りにも見る木戸の梅
たゆとひてやがて消えゆく春の雪
ひるからは馬もおねんね春うらら
裏山が近し恐ろし杉花粉
山桜正面に見て朝御飯
ねね殿の高台寺いま花盛り
庭を歩いていると、ヒヨドリが飛びたち、椿の花が落ちた。拾ってきて、トルコの盃に浮かした。
飛び立ちて椿一輪落としたり
菜の花や遊子佇む高野川
爪ばかり伸びて仰ぐや春の空
春光はあまねしといえず鳥鳴けど
春なのに心憂き日はシャツ洗ふ
春昼やハートじるしのラテを飲む
飛び魚を食めば空翔ぶ心地して
風蒼し窓辺に白き蘭の花
羽化をする前に蝉なく気鬱かな
卯の花のにほふ通りや姉小路
ビル街の夏とはいえぬ雲と空
手仕舞いを急がねばと思ふ梅雨しきり
幻にあらず子鹿が高野川
ボストンのクリーム売りの声テレビ（ボストンレッドソックスがホームでマリナーズと
対戦するのをテレビで観ていると、アイスクリーム売りの声が聞こえた）コンチキチン祇園祭で街動き
ミニミニの金魚鉢買ふ二年坂
風通る窓際に置く金魚鉢
山一つ彼方は滋賀か遠花火
東かないや西かなと惑ふ遠花火
デザートは無花果ぎざぎざのスプーン添え
ひといじめたること悔いる秋なれば
塩昆布は今日は二枚よ妻の秋
終わりたる花は骸か白木槿
たまゆらの恋に狂ひて法師蝉
いぬ蓼や愚痴も言はずに五〇年
犬蓼を魚籠に投げ入れ客を待つ
戸板はねあげて咲きたる曼珠沙華
黒衣着し女見上げる赤トンボ
雨しきり秋が更けゆく昨日今日
いちじくを切ればハートがくっきりと
静かなる晨小萩を瓶に挿す
活き海老の背わたをとるや震える秋
電線をようやく越えし秋の蝶
鼻を病み心貧しく秋闌ける
秋の蝶もつれて空へ空高く
深更の耳に去りゆく秋の音
秋時雨慌てて葉書ふところへ
秋寒し眠れぬ夜の夢判断
円楽も森繁もゆき冬きたる
初飛来百合鴎みな北を向く
足伸ばし兎も眠る小春かな
言うならば妖刀村正冬の月
かって親しくしていた判事が亡くなった。
一掬の涙をそそげ秋は逝く
また一人住所録消す師走かな
茫々と茫々たるや開戦日
外科内科皮膚科小児科クリスマスツリ
請求は棄却の判決メリークリスマス
クリスマスツリは楽し熊ころぶ
救世軍父はラッパを子は旗を
三室戸はもと無人駅寒椿
一羽だけ南を向ける百合鴎
流れる水追わず漂う百合鴎
ビル街のビルは静かに年越せり
元日に舌噛み臍噛み日が暮れる
寝過ごして朝日眩しき冬の朝
検査後の六角饅頭冬闌ける
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