耳鼻咽喉科判例
判例時報に掲載の耳鼻咽喉科関係の民事医療過誤判例である。○は医師側の責任が肯定されたもの。
　
裁判所 裁判日 判例集 病名 経過 結果 責任 理由 キーワード
大阪地裁 1964/02/03 ０３６９号０３３頁 肥厚性鼻炎 数回にわたって左右下甲介粘膜切除手術 廃人状態 × 処置適切 耳鼻科
東京地裁 1966/11/22 ０４７１号０４０頁 副鼻腔炎 器具が紙状板をこえて侵入し視神経損傷 失明 ○ 手技ミス 耳鼻科
東京地裁 1968/03/13 ０５２５号０６７頁 中耳炎 真珠腫除去手術の際に顔面神経損傷 顔面麻痺 × 除去やむなし 耳鼻科
東京高裁 1969/05/30 ０５７０号０５１頁 副鼻腔炎 器具が紙状板をこえて侵入し視神経損傷 失明 ○ 手技ミス 耳鼻科
大津地裁 1969/04/09 ０５７２号０６２頁 副鼻腔炎 鉗子が眼窩内刺入・タンポン視神経圧迫 失明 ○ 手技ミス 耳鼻科
広島高裁 1977/04/13 ０８６３号０６２頁 副鼻腔炎 胸腺リンパ体質患者に塩酸プロカインで局所麻酔→ショック 死亡 ○ 麻酔危険についての説明不十分 耳鼻科・説明
東京地裁 1980/03/27 ０９７９号０９１頁 副鼻腔炎 両側上顎洞経由篩骨洞手術をうける 左眼失明 ○ 手技ミス→視神経損傷 耳鼻科
福岡地小倉 1980/06/05 ０９９８号０９０頁 副鼻腔炎 鼻内篩骨洞開放手術後眼窩蜂巣織炎発症 両眼失明 ○ 炎症は術前発症・転医義務懈怠 耳鼻科
新潟地裁 1981/09/29 １０４９号１００頁 慢性中耳炎 鼓室内の真珠腫塊除去手術中に顔面神経損傷 顔面麻痺 ○ 適時適法な保存処置懈怠 耳鼻科
東京地裁 1982/07/15 １０７０号０６２頁 副鼻腔炎 ストレプトマイシン筋注直後ショック症状 死亡 ○ テストなしにストマイ筋注 耳鼻科・ストマイ
札幌地裁 1983/12/16 １１０４号１１３頁 中耳炎 耳鼻科開業医が投薬治療をしていたが検査で緑膿菌検出 右耳聴力喪失 × 医療水準上発見不可能 耳鼻科
神戸地裁 1984/09/13 １１４６号１２５頁 副鼻腔炎 ２０年前の鼻手術以来の頬部膿腫が鼻内開放手術時に移動し栓塞 失明 × 不可避現象 耳鼻科
東京地裁 1985/10/29 １２１３号０９８頁 副鼻腔炎・気管支炎 ストマイを含鞭打症噴霧治療を実施し、ストマイを筋注 ショック死 ○ 問診、反応検査懈怠 耳鼻科・ストマイ
名古屋地一宮 1985/12/05 １２１５号１０９頁 慢性中耳炎 鼓膜皮植手術実施後、中耳炎が再発 難聴 ○ 安全な保存療法を選択せず 耳鼻科
大阪地裁 1986/05/12 １２４３号０６９頁 喉頭がん 嚥下痛を訴える患者を扁桃部膿栓が原因の扁桃腺炎と診断 死亡 × 処置妥当・検査も指示 耳鼻科
札幌地裁 1987/02/20 １２５４号１１０頁 咽頭ポリーブ 切除手術のため全麻実施の予備肝臓検査剤インドシャニングリーン静注 ショック死 ○ 体質検査、救急救命準備懈怠 耳鼻科
横浜地裁 1987/10/28 １２７５号０９０頁 上咽頭がん 放射線治療中の上気道狭窄による窒息予防のため気管切開術施行 手術中に死亡 × 処置妥当 耳鼻科
横浜地裁 1988/03/25 １２９４号０８９頁 咽頭炎・耳下線炎 合成ペニシリン剤ヤマシリン等を投与・過敏性薬物性激症肝炎発症 死亡 × 処置不適切とはいえず 耳鼻科
静岡地裁 1990/06/29 １３６４号０８９頁 杉花粉症 減感作療法として１００万倍杉花粉エキス０・０５ｍl注射 慢性腎炎 ○ 濃度、投与量慎重を欠く 耳鼻科・花粉症
広島地裁 1990/10/09 １３８８号０９６頁 鼻茸・川崎医大病院 アスピリン喘息患者の鼻茸切除手術後に鎮痛剤ボルタレン投与 ショック死 ○ 検査に代わる詳細な問診懈怠 耳鼻科
静岡地沼津 1993/12/01 １５１０号１４４頁 急性咽頭浮腫 午後８時頃患者を再診したが、緊急度の判定なしに救急病院に転送 １時間後死亡 ○ 緊急度判定、気道確保の措置なし 耳鼻科
東京地裁 1994/02/16 １５２２号０９７頁 慢性中耳炎 肥満中年女性にハローセンで全麻・鼓室形成術実施→激症肝炎 ３月後死亡 × ハローセン使用不当ではない 耳鼻科・ハローセン
大阪高裁 1999/06/10 １７０６号０４１頁 急性咽喉炎 胃潰瘍病歴ある患者に消炎剤ポルタレンをステ剤と併用長期投与 胃潰瘍手術・死亡 ○ 検査懈怠 耳鼻科・検査
札幌地裁 2001/02/26 １７５９号１１３頁 副鼻腔炎・鼻茸 上顎洞・篩骨洞開放、鼻茸切除手術中にくも膜下出血を発症 死亡 × 手術との因果関係否定 耳鼻科

　

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