判例時報掲載説明義務違反民事判例
裁判所 判例集 裁判日 病名 経過 結果 責任 理由 キーワード
京都地裁 判時０８４８号０９３頁 1976/10/01 結膜類皮腫 切除手術開始後腫瘍が深部にあるのを発見・深部まで切開・浮腫・下垂 数次の手術 ○ 簡単な手術と説明・説明不十分 説明
広島高裁 判時０８６３号０６２頁 1977/04/13 副鼻腔炎 胸腺リンパ体質患者に塩酸プロカインで局所麻酔→ショック 死亡 ○ 麻酔危険についての説明不十分 耳鼻科・説明
東京地裁 判時０９０７号０２４頁 1978/09/25 肺結核 約１年半ストレプトマイシンの投与を受ける 全聾 ○ 副作用指示、説明、警告不十分 ストマイ・説明
高松地丸亀 判時０９０８号０８２頁 1978/03/31 未熟児網膜症 昭和４５年１０月生まれ 失明 ○ 眼底検査懈怠・説明義務違反等 説明
札幌地裁 判時０９１６号０６１頁 1978/04/18 悪性間葉腫・小児がん ９歳の男児が腹痛・開腹手術で肝腫瘍破裂を認める・再度の手術不成功 死亡 × 処置適切・説明義務違反否定 説明
神戸地裁 判時０９３８号０９８頁 1979/03/28 未熟児網膜症 昭和４７年３月生まれ 失明 ○ 眼底検査懈怠・説明義務違反等 説明
東京地裁 判時０９４５号０６５頁 1979/09/18 分娩 妊娠初期に風疹にかかり産科医師に告げたが大丈夫と述べる 先天性風疹症候群児出生 ○ 説明、助言懈怠 説明
高松地裁 判時０９７５号０８４頁 1980/03/27 未熟児網膜症 昭和４６年７月生まれ 失明 ○ 説明義務違反 説明
札幌地裁 判時０９８４号１１４頁 1980/04/17 腸閉塞 開腹手術で一側性腸空置術を施行・盲のう症発症 再度、根治手術を受ける ○ 説明不十分 説明
最高裁二小 判時１０１１号０５４頁 1981/06/19 頭蓋骨陥没骨折 開頭手術の場合の説明は手術の内容危険性で十分 死亡 × 説明十分 説明
札幌高裁 判時１０２０号０５５頁 1981/05/27 虫垂炎 予防的虫垂切除手術にペルカミンSで腰麻 ショック死 × 説明義務なし ペルカミン・説明
東京地裁 判時１０４４号０１９頁 1982/02/01 てんかん・腎疾患 クロロキン製剤を服用 クロロキン網膜症 ○ 警告説明義務等懈怠 薬害・説明
名古屋地裁 判時１０４７号１３４頁 1981/11/18 美容整形・多毛 脱毛のため通院・看護婦が施術 火傷瘢痕 ○ 説明義務懈怠 美容整形・説明
大阪地裁 判時１０６４号０９２頁 1982/06/25 大腿骨骨折・骨髄炎 交通事故で負傷入院中に骨髄炎で左大腿骨切断手術 脚切断 ○ 説明不十分・慰謝料肯定 説明
大阪地裁 判時１０７４号１０５頁 1982/09/27 胃がん ステロイドホルモン常用患者を開腹手術・家族だけにがん告知 死亡 × 説明義務懈怠なし ステ剤・説明
福岡地小倉 判時１０９１号１２６頁 1983/03/29 虫垂炎 完全に虫垂除去せず手術より１４年後に開腹手術してこれを発見 腹部不調継続 ○ 説明義務懈怠・時効不完成 説明
横浜地裁 判時１０９４号０８５頁 1983/10/21 臼歯金属剥離 ５１歳の男性が上顎切歯４本に４分の３冠治療 金属露出し外貌醜い × 説明義務懈怠なし 歯科・説明
東京地裁 判時１１００号０８９頁 1983/07/22 分娩 妊婦が風疹にかかり胎児ファロー四微症をもって出生 出生３年後に死亡 ○ 検査、説明懈怠 説明
大阪地裁 判時１１３７号０９６頁 1984/04/25 糖尿病性網膜症 右眼の視力が０・０８なので硝子体手術施行 失明 × 危険性説明義務懈怠 説明
東京高裁 判時１１５９号０８６頁 1984/04/22 麻疹 感染予防のため受動免疫剤ガンマーグロブリン注射 麻疹脳炎・下肢麻痺 × 説明義務等の懈怠なし 説明
東京地裁 判時１１８０号０８４頁 1985/04/26 豊胸術・全身性強皮症 挿入したシリコンパックからシリコンゲルが流出し全身性強皮症発症 全身倦怠・食欲不振 × 医学上定見ないから危険性告知義務違反なし 説明・美容整形
東京地裁 判時１２３１号００３頁 1987/05/18 ネフローゼ症候群等 クロロキン製剤を服用 クロロキン網膜症 ○ 警告説明義務等懈怠 薬害・説明
東京高裁 判時１２７１号００３頁 1988/03/11 てんかん・腎疾患 クロロキン製剤を服用 クロロキン網膜症 ○ 警告説明義務等懈怠 説明
横浜地裁 判時１３０３号１０８頁 1988/04/22 慢性リウマチ 金チオリンゴ酸ナトリウムを主成分とするシオゾールを注射 全身脱毛 ○ 説明、検査義務等懈怠 説明
東京地裁 判時１３２８号０５８頁 1988/12/26 頸部脊椎症 二段階の除去法で手術 両上下肢不完全麻痺 × 説明、処置等妥当 説明
大阪地裁 判時１３４０号１１８頁 1989/07/10 背筋痛 カイロプラクティック療法を施行 頸椎症性頸髄症 ○ 説明義務懈怠・施術不適切 説明
神戸地明石 判時１３９４号１２８頁 1990/10/08 硬膜下出欠 ６０歳の男性が酔って階段から転落し救急入院・帰宅させる・翌日急変 死亡 ○ 問診、家族への説明義務違反 説明
静岡地裁 判時１４０５号０８６頁 1991/10/04 気管支拡張症 肺結核既往症・エンボライゼイション施術時に脊髄動脈塞栓 両下肢機能障害 ○ 施術選択ミス・説明不足・手技ミス 説明・血管内治療
千葉地裁 判時１４２１号０１８頁 1992/03/09 分娩・不正出血 診察、検査なしに子宮、卵巣、卵管、虫垂等の摘出手術 子宮、卵巣、卵管等摘出 ○ 説明懈怠、無承諾手術 説明
高松地裁 判時１４３５号１１６頁 1991/12/09 食道胃静脈瘤 比較的新しい治療法である塞栓術（TIO)施行中に徐脈、呼吸停止 死亡 ○ 前提所見不足・説明不足 説明
東京地裁 判時１４６３号１０２頁 1992/08/31 脳動静脈奇形（AVM） AVM摘出手術中出血あり中止・再手術中に脳腫脹 死亡 ○ 危険性、代替方法→説明不十分 説明
新潟地裁 判時１５０３号１１９頁 1994/02/10 脳動静脈奇形（AVM） 部位が脳幹に近く危険→人工的塞栓術施行・塞栓物質が正常血管流入 左同側性半盲等 ○ 説明義務違反 説明・血管内治療
東京高裁 判時１５０５号０１７頁 1994/09/13 ネフローゼ症候群等 クロロキン製剤を服用 クロロキン網膜症 ○ 警告説明義務等懈怠 説明
福岡地裁 判時１５０９号１２３頁 1993/10/07 陥没乳頭 ２５歳未婚の女性が陥没乳頭手術を受けるが右乳頭壊死、左も治癒不良 醜状等 ○ 十分な説明を欠く 説明
東京高裁 判時１５１３号１１５頁 1994/10/05 分娩・不正出血 診察、検査なしに子宮、卵巣、卵管、虫垂等の摘出手術 子宮、卵巣、卵管等摘出 ○ 説明懈怠、無承諾手術 説明
広島地裁 判時１５３０号０８９頁 1994/03/30 美容整形 鼻の段差をなくするため背腰部の真皮を鼻根部に挿入・その後２回手術 背腰部傷痕等 ○ 術式についての説明不十分 説明・美容整形
仙台高裁 判時１５３６号０４９頁 1994/12/15 脊髄腫瘍・ヘルニア 国立仙台病院整形外科で椎弓切除法で摘出手術 両下肢麻痺 ○ 説明義務違反 説明
東京地裁 判時１５５１号１００頁 1995/07/28 多汗症・腋臭 ２０歳の女性が週刊誌で知ったアサミ式吸引法で多汗、脱毛手術を受ける 搬痕 ○ 説明義務違反 説明
静岡地裁 判時１５５８号０９２頁 1995/02/16 拡張型心筋症・不整脈 ２時間５０分にわたって心臓造影検査、生検実施・夕方意識喪失 脳塞栓症・左片麻痺 × 因果関係、説明義務違反否定 説明
福岡地裁 判時１５５８号１１１頁 1995/01/20 慢性肝炎・肝硬変 診療中、慢性肝炎→肝硬変移行を知っていたが食道静脈瘤に留意せず 食道静脈瘤破裂→死亡 ○ 説明、転医義務違反 説明
東京地裁 判時１５９０号０９０頁 1996/06/21 脳動静脈奇形（AVM） ５６年６月全摘出手術・脳梁よりの出血、脳の膨張→片麻痺 術後１１年後死亡 ○ 治療妥当・しかし危険説明不十分 説明
高松高裁 判時１５９１号０４４頁 1996/02/27 髄膜腫 摘出手術後抗痙攣剤アレピアチン等の投与→TENライエル症候群 死亡 ○ 副作用についての説明義務違反 説明海野１０８頁
大阪地裁 判時１５９４号１２５頁 1996/05/29 乳がん 平成３年２月、４３歳の女性が右側乳房及び周辺脂肪全摘手術を受ける 右側乳房全摘 ○ 温存方法選択の説明義務違反 説明
山口地岩国 判時１６２８号０８３頁 1996/10/31 パイプカット 夫３１歳妻３０歳・夫が精管切断手術３週間後の性交で妊娠 妊娠中絶 ○ 術後管理の説明不足 説明
東京高裁 判時１６２９号０３４頁 1998/02/09 悪性肝臓血管腫 エホバの証人患者が輸血を拒否したが主治医は摘出手術時に輸血 信条違反・一審は棄却 ○ 説明義務違反・慰謝料肯定 説明
岡山地裁 判時１６７２号１００頁 1998/04/22 近視 近視改善のため放射状角膜切開RK手術実施 効果なくスターバウト現象 × 説明義務懈怠 説明
大阪地裁 判時１６８２号０７８頁 1998/09/28 近視 近視矯正のため放射状角膜切開術（RK手術）を受けるが効果なし スターダスト現象 ○ 危険性についての説明不足 説明
大阪地裁 判時１６９０号０９４頁 1998/09/22 S状結腸ポリーブ ２センチのポリーブの内視鏡的ポリペクトミー実施翌日術部穿孔 腹膜炎・開腹手術 ○ 術後生活指導、説明義務懈怠 説明
広島高松江 判時１７０２号１０７頁 1999/03/12 大腿部閉塞性動脈硬化症 腹部大動脈-両外腸骨動脈バイパス手術後左足趾血行不全左下腿部壊死 左下腿部切断 ○ 手法ミス・説明義務懈怠 説明
東京高裁 判時１７３３号０３７頁 1999/05/31 脳動静脈奇形（AVM） ５６年６月全摘出手術・脳梁よりの出血、脳の膨張→片麻痺 術後１１年後死亡 ○ 治療妥当・しかし危険説明不十分 説明
名古屋地裁 判時１７３３号０７０頁 2000/03/24 卵巣がん 薬事承認前の知検薬２５４Ｓを投与・骨髄機能障害・血小板、白血球減少 ４ケ月後死亡 ○ インフォームド・コンセント不十分 説明
大阪地裁 判時１７４０号０６０頁 2000/09/22 近視 角膜上皮、ボーマン膜剥離してレーシック手術施行 角膜混濁、不正乱視 ○ 説明不足、フラップの剥離など不正確 説明
東京地裁 判時１７４９号０６１頁 2000/12/25 顎関節症 自然歯牙の削合で補綴治療実施 自然歯牙削除 ○ 説明義務違反 説明
札幌地裁 判時１７５６号１２１頁 2001/04/19 肝臓損傷・交通事故 酩酊運転で事故を起こし救急搬送され、診療を受けるよう説得したが帰宅 死亡 × 受診拒否なので治療続行義務なし 説明
東京高裁 判時１７６２号１１４頁 2001/07/18 腹部大動脈瘤 下部胸部腹部大動脈置換術、分枝再建術中に急性出血性心筋梗塞発症 死亡 ○ 手術の危険性、死亡率説明せず 説明
最高裁三小 判時１７６９号０５６頁 2001/11/27 乳がん 平成３年手術当時、乳房温存温存法は評価はされていたが一般的でなかった 乳房切除 ○ 説明不十分・患者に選択の余地を与えるべし 説明

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